ねじの豆知識「アンカー」 第7回 「ボードアンカー」

石膏ボードへ打ち込んだねじや釘が効かず、穴の周りがボロボロに崩れて抜けてしまう、そんな経験を皆さんもお持ちではないですか?そんなボードへの部材取付も「アンカー」の仕事です。

ねじの豆知識「アンカー」 
第一回 「アンカー」と呼ばれるファスナー
第二回 「埋込(先付)アンカーボルト その1」
第三回 「埋込(先付)アンカーボルト その2」
第四回 「あと施工アンカー その1」
第五回 「あと施工アンカー その2」
第六回 「あと施工アンカー その3
第七回 「ボードアンカー」(本稿)



「ボードアンカー(石膏ボードアンカー)」


石膏ボードは大変優れた建材として広く使用され、最近の日本の住宅では壁や天井に石膏ボードを使用している場合がほとんどです。
石膏ボード(プラスターボードとも呼ばれます)は2枚の厚紙(原紙)の間に水で練った「焼石膏」を流し込み、板状に固化させています。防火性、断熱性、遮音性、加工性に優れた経済的な内装材です。しかしながら、壁に飾り棚や家電などの重いものをねじや釘で取り付けようされた方は、ねじや釘が効かず、さらには穴の周辺がボロボロに崩れて抜けてしまう経験をされたのではないでしょうか?

そこで「錨のように」構造体を固定する “ボードアンカー”の出番です。石膏ボードやプラスターボードと呼ばれる建材でできた壁に様々な部材をねじ止めできるようになります。基本は下穴をあけてアンカーを挿入し、ビスをねじ込んで締結しますが、下穴を必要としないものもあります。



一口にボードアンカーといっても、構造や材質によっていくつかの種類があり、用途や取り付ける物の重さによって選び方が変わります。いくつかご紹介しましょう。


樹脂製プラグアンカー(プラスチックアンカー)


最も手軽で安価なのが、樹脂製のアンカーです。ねじ込み式とも言われます。



ABS樹脂やナイロンなどで作られており、ブラスターボード壁(石膏ボード壁)に予め指定されている径の下穴をあけて本体を挿入し、木ねじをねじ込むとボードアンカーが外側に広がって壁に固定されます。



軽量で簡単に使える反面、保持力はそれほど高くなく目安としては5〜10kg程度ですので、軽いフックや小物の取り付け向けです。ねじ込んだ際のプラグの拡張の仕方に製品ごとに個性があります。


はさみ固定式

もう少ししっかり固定したい場合ははさみ固定式が適しています。


はさみ固定式 挿入側

亜鉛合金や鋼板プレスで作られており、下穴に挿入してねじを締め込むとアンカーの羽根が裏側で開いてボードを挟み込みます。施工には専用のハンドプライヤーを使うタイプもあり、プロ用途にもよく使われます。下穴径は呼び径に対して比較的大きくなります。樹脂製のはさみ固定式の製品もあります。



同じ挟み固定式に分類されますが、下穴に本体が挿入され先端部のプレートが壁の中空部に壁の内側(中空)に出ると、自然にプレートが回転するタイプもあります。



ナットを締めこむことで回転した先端部プレートとナットでボードを挟み込みます。

はさみ固定式のボードアンカーは石こうボードの厚みが12.5mmでアンカー1個につき20〜30kg程度まで対応できるものや30〜60kg以上の荷重に耐える製品もあり、エアコンの配管カバーや大型の棚板など、強力な固定に使われます。


スクリュー型アンカー(直接ねじ込み式)

近年DIYで人気なのが、ドリルで下穴を開けずに直接ねじ込める「スクリュー型アンカー」です。




荒いねじ山のある円錐形をしており、樹脂または金属製があり目的に応じて材質を選べます。下穴無しで直接ドライバーで回しながら打ち込める手軽さが魅力で広く利用されています。取付物の固定はプラグを挿入した際にドライブとなっていた十字穴にビス・木ねじをねじ込むことで行えます。軽中量物の固定に適しており、施工時間を短縮できる点が高く評価されています。

そのほかにも、額縁専用の小型アンカーや、耐震性を重視した特殊設計のものなど、多様なバリエーションがあります。フック一体型の製品もあり、DIY初心者でも「刺すだけ・回すだけ」で確実に固定できるよう工夫されています。


ボードアンカー選びのポイント

ボードアンカー選びのポイントとして次のような点を挙げることができます。

取り付けたい物の重さ:

必ずボードアンカー製品の「引抜荷重(耐荷重)」を確認し、少なくとも荷重の2倍程度の余裕を持つことが大切です。

壁材の厚さ:

ボードアンカーが、ボード壁の厚み(石膏ボードの厚みは9.5mm・12.5mm・15mm・21mmの4種類です。2重張りになっている壁もあります)に対応しているかを確認します。

施工方法の簡便さ:

電動工具があるか、手作業で簡単に済ませたいかによっても最適な方式が変わります。

そして施工に際しては、メーカーのカタログや取り扱い説明書で下穴径や作業手順を確認してください


7回に亘って直接目に触れない場所で私たちの生活を支えている締結資材「アンカー」を調べてきました。最後までお付き合いくださり本当にありがとうございました。


「ねじ」と簡単に一言でまとめてしがちな締結資材ですが、その世界が本当に奥深いことに改めて気づくことができました。皆さんも同じように思ってくださったなら幸いです。


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