ねじの豆知識 「止め輪」 第四回 止め輪の種類 特殊機能付きの止め輪

今回は様々な要求にこたえるため開発されてきたいろいろな形状の止め輪についてご紹介します。
 
ねじの豆知識 「止め輪」 
第一回 止め輪とは?
第二回 止め輪の種類 軸用
第三回 止め輪の種類 穴用 止め輪の取付方向
第四回 止め輪の種類 特殊機能付きの止め輪(本稿)
第五回 止め輪の材料(近日公開)
第六回 止め輪の熱処理・表面処理(近日公開)



 「止め輪」の分類には用途別の「軸用」と「穴用」、取付方向別の「スラスト取り付け」と「ラジアル取り付け」、あるいは軸への加工を必要とする「溝あり」と加工の必要のない「溝なし」などがあることを見てきました。今回は形状のバラエティーについて見てみましょう。



特殊機能付きの止め輪

使用環境や目的に応じた細分化された要求にこたえるため、止め輪にはJISにある基本的な形状のものだけでなく、様々な工夫を凝らした様々なバリエーションがあります。


波形止め輪(Wave Ring)

 リング自体が波打った形をしており、スプリングのように弾性を持たせています。




振動吸収や予圧(ガタ防止)に用いられます。

o    使用例
電動工具のギア部での予圧付与
電動モーターのベアリング保持とガタ防止 
精密機器の軸受部での振動吸収


スパイラルリング

渦巻き状に巻かれたリングで、断面が平らです。



 
内外周ともに均一に接触するため、高い保持力と信頼性があります。適切なバランス設計および規格条件下では高速回転部にも使われます。

o    使用例
航空機用の軸受保持
高速回転するモーターやターボ機械
大型産業機械のシャフト固定
 
 
これまで見てきた「止め輪」の特徴をまとめると

  • E形止め輪 → ラジアルタイプで取り付けが簡単、小型機器向け
  • C形止め輪(軸用・穴用) → 強度・信頼性重視、自動車や工作機械
  • セルフロック式 → 簡易・低コスト用途
  • 波形止め輪 → ガタ取りや振動吸収
  • スパイラルリング → 高速・高荷重用途

さまざまなバリエーション

このように、止め輪は単なる「抜け止め」でなく、「振動吸収」「ガタ取り」「簡易固定」などの機能も果たします。そのために、ここで取り上げた基本の形からさらに工夫を凝らした派生形が市販されており、また、使用目的(製品)別にカスタマイズされた専用品も数多く存在します。
 
例としてフジモトボサードで扱っているゼーガーオルビス(SEEGER-ORBIS)ブランドの止め輪の画像を紹介いたします。



 

次回予告

止め輪には高い弾性、耐摩耗性、疲労強度、保持力と信頼性が求められます。こうした機械的特性は材料の選定や熱処理(焼き入れ)などによって確保されます。次回からは止め輪のこれらの要素について見てみましょう。まずは材料についてです。


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