ねじの豆知識 「止め輪」 第三回 止め輪の種類 穴用 止め輪の取付方向
今回は穴用の止め輪について、また止め輪の取付方向の違いについてご紹介します。
ねじの豆知識 「止め輪」
第一回 止め輪とは?
第二回 止め輪の種類 軸用
第三回 止め輪の種類 穴用 止め輪の取付方向(本稿)
第四回 止め輪の種類 特殊機能付きの止め輪(近日公開)
第五回 止め輪の材料(近日公開)
第六回 止め輪の熱処理・表面処理(近日公開)
「止め輪」の分類には形状だけでなく、用途別の「軸用」と「穴用」、取付方向別の「スラスト取り付け」と「ラジアル取り付け」、あるいは軸への加工を必要とする「溝あり」と加工の必要のない「溝なし」などがあります。今回は「穴用」と止め輪の取付方向について見てみましょう。
穴用止め輪(内止め輪)
C形止め輪穴用
穴用止め輪は穴の内側に設けた溝に装着し、ベアリングやシャフトを固定します。穴の中に装着されるので内止め輪と呼ばれることもあります。こちらも C形内止め輪 が代表的で、先端のラグ部が留めとして機能して固定力を高めます。偏心タイプと同心タイプの違いは軸用と同様です。





穴溝への装着は、ラグ部に工具先端を差し込み、専用のプライヤで軸用とは反対にリングを縮めて外径を小さくして穴に入れます。


左:直型 右:曲型
o 使用例:
ベアリングをハウジングに固定
シリンダ内のピストン保持
自動車のホイールハブ内部
セルフロック式穴用
穴用止め輪にも、溝がなくても固定できるセルフロック式止め輪(溝なしタイプ)があります。やはり、溝を切らずに摩擦で固定できるため、製造が簡単でコストを抑えられるため、軸用と同様に簡易固定部や軽負荷の樹脂製機構部等に使用されます。
一例としてプッシュナット穴用を挙げておきます。





スラスト方向取り付けとラジアル方向取り付け
止め輪は溝への挿入の仕方でも区別されます。
スラスト方向取り付けタイプ
加工した穴溝に穴および軸に平行に挿入して取り付けるタイプをスラスト方向取り付けタイプとよびます。C形止め輪はスラスト方向取り付けタイプの代表です。
ラジアル方向取り付けタイプ
軸に加工した溝に垂直方向に取り付けるタイプをラジアル方向取り付けタイプとよびます。ラジアル方向取り付けタイプは種類が少なく、E形止め輪が代表的な製品です。
挿入方法 スラスト方向取付タイプ
スラスト方向取り付けタイプは軸や穴の先端から軸用ならリングを広げて穴用ならリングを縮めて挿入して、そのまま加工溝までリングを軸(穴)と平行に移動させてはめ込む必要があります。


ラジアル方向取り付けタイプ
それに対してラジアル方向取り付けタイプは軸に加工した溝へ直接アクセスできます。また、装着用の工具を用いてパチッと押し込むだけで溝にはめ込めるためスラスト方向取り付けタイプよりも取り付け作業が簡便です。このため、作業時間の短縮でき、コストダウンを図れます。

ただし、軸方向の荷重(スラスト荷重と呼びます)に対してはより強いのは、スラスト方向取り付けタイプです。一般に、スラスト方向取り付けタイプは溝側壁全面で荷重を受けるため、同サイズ条件ではラジアル方向取り付けタイプより高い耐スラスト荷重を確保できます
次回予告
次回は様々な要求に応えるため開発されてきた様々な形状の止め輪についてご紹介します。


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