ねじの豆知識「ピン」 第三回JIS規格にあるピン ゆるみ止め・外れ止め・回転軸 他
今回もJIS規格にある「ピン」について見てみましょう。ゆるみ止め・外れ止め・回転軸・軸の相対移動を防ぐを目的として使用されるピンです。
ねじの豆知識「ピン」
第一回 「ピン」とは
第二回 JIS規格にあるピン 位置決め・接合
第三回 JIS規格にあるピン ゆるみ止め・外れ止め・回転軸・軸の相対移動を防ぐ(本稿)
第四回 「ピン」の使用例(近日公開)
第五回 特殊ピンという選択肢(近日公開)
スプリングピン(JIS B 2808:2013)
スプリングピンは弾性がある板を円筒状に丸め,ピンの半径方向にばね作用が生じるピンです。円筒に切れ目が入った溝付きと二重巻きがあります。溝付きには溝が真っすぐなタイプと波形のタイプがあります。


押し込むと少し縮んで穴の中に収まります。そして元に戻ろうとする力によって、しっかりと固定されます。このタイプは振動に強く、機械や自動車の内部でよく使われています。走行中の振動や衝撃の中でも外れにくいという特徴があります。
また、スプリングピンはドアの開閉部分や機械の関節部分での蝶番(ちょうつがい)の回転軸にも使われます。ピンを中心に回転する仕組みになっており、蝶番の滑らかな動きを支えています。

割りピン(JIS B 1351-1987)
次は「割りピン」と呼ばれるタイプです。割りピンはねじの戻り,ピンの脱落などを防ぐために用いる部品です。一般に鋼製(材料は軟鋼線材のSWRM6〜17及び冷間圧造用炭素鋼線のSWCH6R〜17R),黄銅製(銅及び銅合金線のC 2600 W又はC 2700 W)、及びステンレス鋼製(冷間圧造用ステンレス鋼線)が用いられています。

半円状の線材を曲げ合わせて、ヘアピンの様なリング状の頭と断面形状を丸くした軸部を持っています。差し込んだ後に先端を広げて固定します。ペンチ等の工具で掴み易い様に重ねた軸部には長短があります。
ボルトやシャフト(軸)の下穴へ挿入し割りピンに「遊び」が無い様に注意しながら軸部を広げる(曲げる)ことで割りピンが穴から抜けなくなります。JIS規格ではピンを「外側に約90度往復3回繰り返して折り曲げても、割れが生じてはならない」こととされています。原則割りピンの再利用はしません。
被締結物のゆるみを防ぎ、万一緩んでもピンが抜け止めとなり、部品が外れるのを防いでくれます。万が一に備えるための非常に信頼性の高い仕組みですので、脱落防止や回転防止、抜け防止などの目的で自動車や鉄道車両、工作・建設機械など様々な場所で使用されています。
溝付きナット (キャッスルナット)と組み合わせるとボルト・ナットの間での相対的な回転を許しません。多くのゆるみ止め製品がある現在でも確実な脱落防止効果が有る為に使われ続けています。

スナップピン(JIS B 1360:2006)
穴加工した軸に挿入し,脱落を防ぐために用いるピンです。スナップピン(英snap pin ,spring cotter pin)βピンなどと呼ばれる「線細工ばね(ワイヤーフォーミング)」の一種で金属線(ワイヤー)の形(フォーム)を変形させ製作します。(パチンやパキッと)音を立て閉まる様子を表す英語【snapスナップ】が語源で、工具を使わずに着脱できる、非常に実用性の高いピンです。軸孔タイプと軸溝タイプがあります。
軸孔タイプ
軸孔タイプには基本の1種(円弧抜け止めタイプ)、湾曲側の足を折り返した2種(折返し抜止めタイプ1)、先端リング部を起こした3種(折返し抜止めタイプ2 流通量は少ない)があります。材料は硬鋼線のSW-B又はSW-C若しくはSWP-A 、又はSUS 304-WPBを用いることになっています。冷間成形加工後に低温焼なまし処理を行ないます。







軸孔タイプは軸の径方向の孔に差し込み,軸の相対移動を防ぎます。回り止めや抜け止め、連結や位置決めとしてボルトやパイプ等の径方向へ設けたピン穴(へ直線部分を差込み、真っすぐな足と湾曲側のR部分とで挟み込み使用します。深く差し込みすぎて変形させることを先端リング部分の湾曲が防いでいます。よく似た形状のものに松葉ピンと呼ばれる製品があります。こちらは先端リング部の湾曲形状が異なり、差し込みすぎに気を付けなければなりません。

軸溝タイプ
こちらはスナップリテーナ(だるまピンと呼ばれることもある)1種と、クリップリングタイプの2種があります。

1種は軸の溝に差し込み,軸の相対移動を防ぐリテーナです。スナップリテーナ(英 snap retainer)は[(パチンやパキッと)音を立て閉まる【snapスナップ】固定器具【retainerリテーナー】]を意味しています。スナップリテーナの軸にはめ込む部分の径は加工された丸溝(角溝にも対応)よりも小さい為、溝にはめ込むことで変形し元に戻ろうとする弾性力によって固定されます。スナップリテーナがはめ込まれた軸はスラスト方向(軸方向)の動きが制限されるので位置決めや抜け止めとして働きます。
2種も軸に加工された溝へ挟み込みスラスト方向の動きを制限します。“スラスト方向”からでも“ラジアル方向(軸と垂直)”からでも軸へ取り付けることができる使い勝手が良いのが特徴です。丸溝・角溝どちらにも対応し、装着すると軸との遊びが無くガタつきません。


スナップリテーナタイプの1種は軸溝タイプと同じ材料(硬鋼線のSW-B又はSW-C若しくはSWP-A 、又はSUS 304-WPB)で、2種はSUS 420J2を用いることになっています。
今回はここまで。
次回はピンがどのような場所で使われているのかを見てみましょう。


締結部品のB2B専用販売サイト
お客様の品質試験依頼に対応
オリジナル品の製造・加工サービス
締結セミナー・Cパーツ分析
棚卸・発注の自動化
組立プロセスのDX化






